toohiiのお一人様がいい

1人が好きな男がいろいろと吐露します。

貴志祐介さんのクローズドサークルホラー

今回紹介するのは『クリムゾンの迷宮』です。

貴志祐介さんが生み出した名作のひとつです。

 

クリムゾンの迷宮 (角川ホラー文庫)

クリムゾンの迷宮 (角川ホラー文庫)

  • 作者:貴志 祐介
  • 発売日: 1999/04/09
  • メディア: 文庫
 

 

何度も読み返していますが、色褪せないおもしろさです。

 

 

 

 ああ、割の合わないアルバイト

主人公の藤木は異様な光景のなかで目覚めます。

アルバイトの募集で来たはずだが・・・。

ここはどこだ。

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ここがどこだかわかりません。

 

 

藤木は携帯用ゲーム機を持っていて、それがメッセージを映し出します。

「火星の迷宮へようこそ。ゲームは開始された」

もちろん火星ではありません。

藤木がいる場所を火星に見立てているのです。

 

リアル・ヴァーチャルリアリティーです。

なんか楽しそうですよね。

 

夢の世界に迷い込んだという設定でディズニーランドで

キャラクターとなって遊んだり、

明治時代にタイムスリップしたという設定で明治村

明治の人物として遊んだり、

 

やってみてーーーー。

と思うのですが、

すぐに、やりたくねーーー。

になります。

 

過酷な運命が主人公の藤木を待っています。

 

ゲームといっても、藤木がするのは、

血で血を洗うゼロサム・ゲームだからです。

 

何故、

彼がそんなことをするはめになってしまったのでしょうか。

 

失業です。藤木は東証一部上場企業につとめていたのですが、

その会社が破綻して失業者になってしまったのです。

妻に逃げられ、アルバイトをして食つなぐ日々。

そんな生活の中で、テレビの制作会社のアルバイトの面接を受けた。

 

で、次の展開がこの状況です。

残酷だなあ。

せめて自堕落な生活をしていた多重債務者とかだったら、

自業自得だよ、がんばって借金返せよお。となるのですが。

 

でも仕方がありません。

よくわからない状況に陥れられたとしても、

生きていかなければなりません。

 

脱出する方法があるはずだと信じて、

ゲーム機の指示を頼りに藤木は歩き出します。

 

途中、物語のヒロインである藍と出会い行動を共にします。

 

ほどなくして、他の参加者とも合流します。

 

野呂田栄介。物静かな学者タイプ。

安部芙美子。陰気な顔で藍を睨む。

船岡茂。競艇狂いで会社の金に手をつけて解雇。

加藤高道。最年長。元中学教諭で、ワンダーフォーゲル部を指導して

いたことから、サバイバルな状況になってしまったときの知識があることを

うかがわせる。良き指導者になってくれそうです。

他に、楢本真樹。フリーター。

妹尾純一。2メートル近い巨漢。多重債務者。

鶴見克哉。出稼ぎ労働者。

ギャンブル狂に、多重債務者。

やっぱりこういうのがいるのか。

言わないだけで、他のメンバーも実は訳ありなのでしょうか。

 

8人は協力してゲーム機に表示された情報を見せ合います。

この状況を理解しようと提供された情報の意味を読み解こうとします。

ゲームの禁止事項の意味とか・・・。

 

そして更なる情報を集めるためにいったん四方に分かれます。

 

サバイバルのためのアイテムを求める者は東へ。

護身用のアイテムを求める者は西へ。

食糧を求める者は南へ。

情報を求める者は北へ。

 

この状況を乗り切るためにはどれも必要です。

各自でそれを取りに行って、みんなで分け合う。

それが一番いいと思うのですが。

 

危機にある状況では、協力が欠かせないはずです。

しかし、本当に協力していいものかと疑心暗鬼になって行き・・・。

 

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その状況を嘲笑するかのように登場するゲーム機の中のキャラクター。

藤木が大学でゲームの理論を専攻していたこと。

サバイバルな状況を乗り越えていくための知識。

 

ちょっとした会話や描写の中に、真相が隠されています。

(再読するとそこがまたね)

 

後、罠とかもあるしね。

 

ああ、懐かしい。ゲームブック 

物語の要素として、ゲームブックが出てきます。

小説なんですが、

「この後主人公はどうする?」とあって、

「右へ逃げる。74へ」「左へ逃げる。58へ」などと選択肢があり、

その数字があるページへと進む形式の小説です。

選択を誤ればゲームオーバー。

これをやったことがあるとより楽しめるのだけど。

テレビゲームもスマホゲームもある今はやらないよなあ。

あれはあれで、おもしろいんですけどね。

 

貴志さんもゲームブックに夢中になった時期があるのでしょうか。

 

ホイじゃ、また。

 

 

 

 

 この方もご自身のブログで紹介しています。

kenbuchi.hatenablog.com