一話5分で楽しめるショートショート。田丸雅智さん。
本日は、小説のご紹介です。
小説といいましてもショートショートです。
という方も多いと思います。その通りなのですが。
今現在のショートショートをひっぱっているのはこの
田丸雅智さんです。
自らがショートショートを書くだけでなく、ショートショートをつくるワークショップみたいなことをやっているくらいなのですから。
ショートショートというものをもっともっと広めたいと思っている方です。
そんな田丸雅智さんのデビュー作をご紹介します。
「夢巻」です。
20本のショートショートが収録されています。
1本読むのに約5分。ちょっとした合間に本を開けば楽しい世界に連れて行ってくれます。(実際には8分かかるものもありました。toohii調べです)
巻末には解説があって、それを尾崎世界観さんが書いています。(この方バンドマンなのですが、小説も書いてます。その小説をあの又吉直樹さんが高評価)
この解説がまたおもしろい。
では、本題に。
1本ずつ紹介していきますね。
- 蜻蛉玉
- 妻の力
- 大根侍
- みみずの大地
- 白メガネの男
- リモコン
- 文字
- 試練
- 千代紙
- 干物
- 綿雲堂
- かぐや姫
- タナベくんの袋
- 星を探して
- ネギシマ
- 岬守り
- 白石
- 分割
- ギタリスト
- 夢巻
- 感想(これは作品ではありません)
蜻蛉玉
ショウリョウトンボはお盆になるとどこからともなくやってくる。
そのショウリョウトンボを生み出すのがぼくの仕事だ。
それには蜻蛉玉が必要で。
蜻蛉をとって遊んだ幼い頃の光景を思い出しながら、読んでみてください。
妻の力
「私は闇をかかえているの」といった妻をそっと抱きしめた自分を消したい。
妻の態度は年々ひどくなり、ぶくぶく太っていき。
そしてあることが起る。
闇ってその闇かーーーい。
大根侍
大根ひとつを腰に差し、そいつはぶらりとやってきた。
この作品は「世にも奇妙な物語」でドラマ化されました。
主演は浜辺美波さん。ドラマの方もとてもいいので是非。
みみずの大地
汚い字のことを「ミミズが這ったような字」ということがあるが、手帳に書物をしているうちに、ウトウトしてしまってそんな字を書いてしまった。
消すのがめんどうだったので、それを放置して、別のページに書き込んで手帳を閉じたのだが・・・。
白メガネの男
友人が遊びに来たので、玄関を開けるも誰もいない。
白いメガネが宙に浮いている。
友人はいう「おれは本当はメガネなんだよ。人の形をしたあれは装飾品にすぎないんだ」
リモコン
リモコンがない。どこだどこだと探していいると雑誌の下に隠れていった。
こんな経験は誰にもあるはず。リモコンには命がるのです。自分で潜っていくのです。
文字
雑誌を開くと違和感。文字の書体が見慣れないものに。
しばらくすると、それはパソコンの文字や、電車広告でも同じような書体を見かけるようになり。ついに・・・。
試練
学校へ行こうとエレベーターに乗った。ところが、下にいくはずのエレベーターが上へ。故障か?
奇妙なエレベーターにのった先は・・・。
千代紙
美しい千代紙はどのようにつくられているのか。工場を訪れた男が目撃したものは・・・。
干物
同期のクドウはファッションのこだわりが強いやつで。
知り合って一年くらいたったころ、ランチに誘おうといってみると、クドウの奇妙な趣味を知ることに・・・。
綿雲堂
雲を売るお店の話。
かぐや姫
かぐや姫は絶世の美女。でもちょっと待てよ、あの時代の美人の定義って、今とはかけ離れた・・・。
タナベくんの袋
タナベくんは布でできた真っ白な袋を持っている。その袋には何でも入ってしまう。見た目は破裂しそうなほど膨らんでいるのに、どうしてかいつも入ってしまう。中はどうなっているのだろう。そんなタナベくんの話。
星を探して
星曜日の話。日曜日と月曜日の間にある曜日。
幻想的な話。
ネギシマ
ナガシマのあごにはネギが生えている。だからネギシマ。
岬守り
幼い頃に祖母が枕元で話してくれた物語。
切り立つ断崖に、放り出されたようにちょんと置かれた小さな一軒の小屋がありました。
白石
飲み会の帰りに、白石という部下がいなくなってしまった。「白石」と呼びながら探していると、まったく知らない男がやってきて自分が白石だという。その男と仕事をともにすることになるのだが・・・。
分割
同期のホンちゃんは買い物が好きで、カードを使ってローンで買い物するのだが・・・。
借金で首が回らなくなってとう話ではありません。
ギタリスト
といってもおれのはそんじょそこらのやつとは違うぜ。
夢巻
シガーバーで古い友人との再開。
この店の葉巻はよそのとはずいぶんと違う。夢巻きだ。
感想(これは作品ではありません)
とっても楽しい20本。バラエティに跳んでいて、いろんな方向から楽しませてくれます。
ぼくは読んでいると、子供の頃に野山を駆け回って遊んでいた風景を思い出しました。
そういう思いをこめているのではないかと感じました。
「夢巻」の一文がそのまま作者のテーマでないかとかってに捉えました。
夢を糧にするタイプの人にとって、これ以上の嗜好品はないよ
一本一本、夢を味わうかのようにして楽しんでほしい。