貴志祐介さんが書いた1000年後の世界 (SF ファンタジー そしてホラー)
ぼくが今まで読んだ中で一番面白かった小説を紹介します。
2008年の1月に発表されて以来、ぼくは何度もこの作品を読み返しています。
2021年の1月現在も再読中です。やっぱりおもしろいと言い切れますね。
この物語にぼくなりのキャッチフレーズをつけるならば、
『痛快超能力ファンタジー。
されど、読後にホラーと気づく』
物語は1000年後です。
その中で人々はみんな神様と呼ばれています。
何故か???
人類は超能力を手に入れているからです。
彼らは超能力が使えないバケネズミという生物を使役しています。
そのバケネズミたちから神様と呼ばれているのです。
主人公は早季。12歳、14歳、26歳の場面があり彼女の成長物語でもあります。
主人公は超能力の使い方を学ぶために学校へ行きます。
そこで出会った覚、真理亜、守、瞬と仲良しグループをつくります。
そのあたりは甘酸っぱい青春恋愛ドラマでもあります。
学校では様々な授業で超能力を学ぶのですが、
ぼくたちの学校生活と同じように、上手くできない子が出てきます。
その子たちはいつも間にか・・・。
子供たちは昔話の形で「悪鬼」「業魔」という存在を知ります。
鬼や悪魔のような扱いですが、それっておとぎ話のキャラクターではなく、
本当に存在している?
・・・・。
夏季キャンプで遭遇してしまった先史文明の端末機械。
それから知った禁断の歴史。
自分たちが信じてきたもの、いや、
信じ込まされてきたものは・・・。
物語は「上」「中」「下」で構成されています。
つまり三冊。
三冊も読むのかと嘆く人もいるかも知れませんね。
しかし!!!
嘆くなかれ。
たっぷり三冊楽しませてくれる。
重厚な物語を是非。
ここからは、ネタバレ注意報です!
この物語は、自分たちの過去の残酷な歴史を知る恐怖。
どれだけ押さえつけようとしても、出て来てしまう「異常な子供」への恐怖。
完全に奴隷化していた者たちから反撃を喰らう恐怖。
などが描かれているのですが、それだけではないんですね。
襲ってくるものたちと主人公は果敢に戦い、克服していきます。
手に汗握る、ハラハラドキドキの痛快冒険活劇なのです。
ですが、
バケネズミという奴隷階層を作り出し、
それを正当化している社会構造こそが一番の恐怖ではないのかと
本を閉じたときに思ったのです。