toohiiのお一人様がいい

1人が好きな男がいろいろと吐露します。

名刺代わりの小説10選について 3回目

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以前からやっておりました「名刺代わりの小説10選」についての解説。

あと数冊残っておりましたので、今回はそれをやりますね。

 

 

獣の奏者 上橋菜穂子

このシリーズは5巻あります。「闘蛇編」「王獣編」「探求編」「完結編」そして「外伝」です。が、実はこのシリーズ、はじめの2巻で一度終了しています。それがとても評判がよかったので、続編を書くことになったらしいですね。

そのすごさを証明するものとして、文庫版の解説をあの北上次郎氏が書いています。

この方はその解説でも書いていますが、ファンダジーが苦手。

そういう人に「倒された」と言わせてしまっています。

ですから。

ファンダジーなんて読まない。くだらないとさえ思っている方にこそ、この小説を読んで欲しいと思っています。

 

 まずはこの2冊から。

 

 

・香水 パトリック=ジュースキント著

この小説の存在を知ったのはもう随分と前。30年くらい前でしょうか。

ぼくはまだ学生でしたね。当時たまに聴いていたラジオ番組で、そのパーソナリティをしていた松任谷由実さんが紹介していました。

松任谷由実さんといえば、当時はものすごい勢いで売れていた方。彼女に憧れていた女性はたくさんいました。ぼくが通っていた高校の国語教師なんかもその一人でしたね。

 そんな方が「これすごい良かったよ」なんていっている小説ですから、

「へ~~~」と思って読んだんです。

強烈なインパクトは、今も覚えています。

いずれ、再読したいですね。

 

 

・ルーティーン 篠田節子

篠田節子さんのSF短編ベストです。

ぼくは一時期篠田節子さんばかり読んでいたことがあります。(とにかく設定が良くて惹き込まれます)

また、短編集ばかり読んでいた時期もあります。

短編集というとだいたいのパターンとして、「読んでもよくわからん」というものが入っています。(ぼくに理解力がないというのも大きな原因のひとつではありますが)

彼女の短編集にはそういうものがひとつもありません。

ぼくは篠田節子さんを勝手に短編の名手であると決めております。

多くの短編集を出していらっしゃいますが、その中でも、これをオススメしますね。

 

 

 

そして、最後におまけの1冊。

といいますか、シリーズもの。

10選といわれながらも、このシリーズを入れさせていただきたい。

 

バチカン奇跡調査官 藤木稟

ぼくのブログでは何度か紹介させてもらっているシリーズです。

幼い頃から、「超常現象」や「都市伝説」のような怪しい話があると、

「ほうほう」と首を突っ込みたくなってしまうたちでして。

もういい年なのですが、たまにその類の話を知りたくなるのです。

「奇跡」と思えるような「超常現象」に対して、科学と暗号解読の視点から

謎を解き明かしていくこのシリーズは、童心をくすぐる楽しいシリーズなのです。

 

 

以上。3回にわたり11の小説について語りました。

今回の狙いとしまして、

「あらすじをいうことなくその物語について語る」ということをやってみました。

いかがでしたでしょうか。

願わくば、小説を読むきっかけになればと。

 

 

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ホイじゃ、また。

 

 

 

 

 

 

Udemyとはてなのキャンペーンに乗っかります   使ってみて気づいた利点

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こんにちは。toohiiです。

今回はUdemyとはてなの特別お題キャンペーンに乗っかりますね。

 

だって「はてな」でブログやってるし、

おまけに「Udemy」もやっているからです。乗らないわけにいかないでしょう。

 

ぼくの #今年、学びたいこと はプログラミングです。

 

 

3つのきっかけ

まずは、ブログをはじめたから。

皆さんのブログ記事を読む機会もとても増えて、

皆さんと同じくらいのレベルのカスタマイズをしたいなあと考えるようになったのです。

 

2つめはこんな発言を耳にしたから。

「世界は今やプログラミングでできている」

例えば買い物に行く。会計をするときにレジでバーコードを読み取る作業。

ここで、すでにプログラミングが使われているわけです。

支払いをカードでする、電子マネーでする。

ここでも、プログラミングが使われている。

いや、私は現金ですよ。といったところで、それを引き出すためのATMは

プログラミングで動いている。

お店に商品を陳列する作業にしろ、お店にトラックで運ぶ作業にしろ、

商品には必ずバーコードやQRコードが貼られそれで管理されているわけです。

それにもプログラミングが使われているわけです。

ありとあらゆることがプログラミングによってなされている。

「世界は今やプログラミングでできている」という言葉は大げさではないのです。

 

3つ目。

「2020年、プログラミング教育が小学校で必須化」

具体的にどのようなことが行われているのかはまったく知りません。

この事実はプログラミングが一部の人だけが持っている特別な技術ではなく、

誰もがある程度は知っていることになるということです。

 

少しはわかった方がいいよね、という思いに至ったのです。

 

で、まずはプログラミングを教えてくれるサイトを見たり、

本を読んだり、としていたのですが、

さっぱりわからーーーーん。 

ある程度知っているのならば、それでも理解できるのかもしれませんが、

まったく何もわからない状態でそれをするのは無理だったのです。

ぼくの場合は。

 

何かいい方法はと思っているときに、ある方のブログを見てUdemyの存在を知ったのです。

(こうやって、ブログを使って教え合えることってとてもいいなと思います)

 

Udemyはオンライン学習プラットフォームです。

いわゆるオンライン授業というやつですね。

 

ぼくはUdemyで「HTML/CSS/Javascript」の入門コースをやることにしました。

これがいいんです。

 気づいた利点を以下に書きますね。

オンライン授業の利点

1・時間と場所を選ばない。

パソコンがあればいつでもどこでも学習ができます。

夜中だって、早朝だっていいんです。

やりたいときにやれます。

 

しかも、気分がのってこなければすぐに止めてもいいんです。

すごくのってきたのならば、何時間でも続けていい。

それが可能です。

 

2・移動時間がいらない。

ぼくのように田舎に住んでいると、こういう講座を受けようとすると学校に行くまでにかなりの時間を要します。当然交通費もかかりますし、そういったコストがカットできます。

 

3・学校に通うことによる弊害がない。

学校に通うことの利点。それは知り合いができること。同じ志の人たちと励まし合って、挫折することを防ぐことができます。

 

ただし、それにも実は弊害があります。

ぼくはかつて資格試験の学校に通っていたことがあるので、その経験から語ります。

それは、残念ながら足を引っ張る人がいるということです。

勉強をしに来ているはずなのに、何をしに来ているのかわからない人がいるのです。

合格してもいないのに、あれしろこれしろといらない指導をしてくる人もいます。

 

また、学校側もあれこれと追加の講座を取るように求めてきます。

こっちは合格したいから、なんとなく不安になってしまって、

自分には必要のない講座まで取ってしまうわけです。

(オンライン授業でもお誘いメールは来ますが、断わりやすいです)

 

Udemyの利点

1・買取である。

オンライン講座の場合、多くあるのは月謝制です。

1ヶ月いくらというやつですね。

これだとその期間しか視聴できません。

定められた時間のうちに集中して学びたい方のはその方がいいのでしょうが、

ぼくは気が向いた時・ゆっくりペース。これでいきたい。

 

Udemyはひとつの講座を買うという方式ですので、

期間に定めがありません。

ぼくがはじめたのは9月です。今は3月。

もう半年以上も経っていますが、視聴できます。

 

2・安い。

見ると講座は1万5000円くらいから25000円くらいのものが多いようです。

その講座を安く買うことができるんです。

実はぼくは、今やっている講座を1500円くらいで買いました。

本1冊と同じくらいの値段です。

どうやら3年くらい前の古い講座のようですが、

そういうものは安く提供してくれるようです。

ぼくのレベルだとこれで十分です。

 

自分の目的。当てられる時間。レベル。予算に合わせることが可能でした。

 

この記事を読んで興味を持ってくださる方がいましたら、

まずは試聴されるといいと思います。

そうやってご自身に合ったものを見つけるのが一番いいと思います。

 

最後に 

プログラムの勉強は楽しいですね。

良い講座に出会えましたので、挫折することなくとても楽しんで学んでいます。

今年はさらにそれを進めて、もう少しプログラミングがわかるようになりたいですね。

 

プログラミングは趣味として考えてもはじめやすい部類だと思います。

趣味をはじめるとなると必要な道具を揃えたり、場所の確保が大変だったりするものですが、プログラミングはそれがありません。

パソコンがあれば、必要な道具に値するものは、ネットからひっぱってくればいいのです。お金もかかりません。場所もパソコンを置くスペースがあればいいです。作ったものもすべてパソコンの中に保存してしまえばいいのです。

 

ホイじゃ、また。

 

#今年、学びたいこと

#今年、学びたいこと
by Udemy

名刺代わりの小説10選 つづき

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前回に引き続きまして、10冊として選んだ小説について書いていきますね。

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ちなみに、上げている順番は順位ではありません。

 

・ジェノサイド 高野秀明著

タイトル名である「ジェノサイド」とは、国家あるいは民族・人種集団を計画的に破壊することだそうです。

ジェノサイド条約というのがありまして、これは、

このような集団殺害を国際法上の犯罪とし、防止と処罰を定めるための条約です。

 

そういう言葉がタイトルにされていることからもわかるように、武装集団による残酷な行為や拉致などのシーンも登場します。

 

ですが。残酷なだけで終わる小説ではありません。

飛び抜けた痛快さが味わえる物語です。ある者の存在によって。

 

ぼくがこの小説を知ったのは、毎朝聴いていたラジオ番組でした。

書評家の方がオススメの小説を紹介してくれる10分程度のコーナーがあったんです。

その方コーナーを任されるだけのことはあって、話がお上手。

少しだけあらすじを話すのですが、読みたくなる話し方をするんです。

その日もいつものようにあらすじを話はじめました。

この『ジェノサイド』のあらすじです。

が、突如その方話を止め、「いいから読んでくれ」と言ったんです。

あらすじをいうことがもはやもどかしい。四の五の言わずに手に取ってくれよっっっ。

そんな叫びに聞こえる一言でした。

 

その方がそんな状態になってしまったのが納得のおもしろさでしたね。 

 

ドグラ・マグラ 夢野久作著。

知ってる人は知っている日本探偵小説「3大奇書」のひとつ。

 

“読んだ者は、一度は狂う“

 

とされている小説ですね。

 

読んだのは随分と前。大学の2年生のときですかね。

でも、難解で挫折してしまいました。(チャカポコチャカポコまではおもしろかったのですが・・・。)

再度挑戦したのは大学4年生のときです。

 

没頭しました。

 

何時間も夢中になって読みました。

そして、読み終わったあと                          怖くなったんです。

ソッとしました。

 

“読んだ者は、一度は狂う“

 

俺大丈夫????

 

すぐに友人に電話をしたのを覚えています。

 

 

ドグラ・マグラ(上) (角川文庫)

ドグラ・マグラ(上) (角川文庫)

 
ドグラ・マグラ(下) (角川文庫)

ドグラ・マグラ(下) (角川文庫)

  • 作者:夢野 久作
  • 発売日: 1976/10/13
  • メディア: 文庫
 

 

 

・深泥丘奇談 綾辻行人

館シリーズ」が有名で、長年ミステリファンを楽しませているベテランです。

ミステリだけでなく、ホラーも書いています。

綾辻行人作品は8割くらいは読んでいると思いますが、その中でひとつを選ぶならば、ぼくはこの『深泥丘奇談』にしますね。

ホラーの部類の作品ですが、怪談といった方がいい作品だと思います。

(ぼくのイメージでは、ホラーは積極的に怖がらせる。

怪談はぼんやりと怖がらせる)

 

「続」「続々」とシリーズ作が3冊ある連作短編集です。

 

特にいいのが、2冊目にあたる『深泥丘奇談・続』。

ぶっ飛んだ内容のものが多いのですが、その中の1本はひっくり返って腹をかかえて笑ってしまいました。

小説を読んであれだけ笑ったのは後にも先にもあの1回です。

 

 

深泥丘奇談 (角川文庫)

深泥丘奇談 (角川文庫)

  • 作者:綾辻 行人
  • 発売日: 2014/06/20
  • メディア: 文庫
 
深泥丘奇談・続 (角川文庫)

深泥丘奇談・続 (角川文庫)

  • 作者:綾辻 行人
  • 発売日: 2014/09/25
  • メディア: 文庫
 
深泥丘奇談・続々 (角川文庫)

深泥丘奇談・続々 (角川文庫)

  • 作者:綾辻 行人
  • 発売日: 2019/08/23
  • メディア: 文庫
 

 

・容疑者Xの献身 東野圭吾

人気のガリレオシリーズのひとつです。

この小説について語るのは野暮かなと思います。

尊い作品」とだけ言っておきます。

容疑者Xの献身 (文春文庫)

容疑者Xの献身 (文春文庫)

 

 

 

映像化もされていますので、そちらもぜひどうぞ。

容疑者Xの献身

容疑者Xの献身

  • 発売日: 2014/02/19
  • メディア: Prime Video
 

 原作のすばらしさを損なうことのない出来栄えです。

 

 

 

Twitter 「名刺代わりの小説10選」 解説

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ちょこっとTwitterをやっています。

読書垢っていうんですか?それで読んだ小説のことをいろいろと投稿しています。

 

世間では「本が売れない」「本を読まない人が増えた」と言われているようですが、

それが嘘ではないかと思えてしまうほどに、みなさんの読書熱に圧倒されております。

 

その中でみんながやっているのが「名刺代わりの小説10選」。

おもしろい試みですよね。

偏っている人がいると思えば、バラバラの人もいて。

 

その中に自分が好きなものがあればうれしいですし、

読んでいないものがあれば、読みたい候補に入れようと思いますし。

本選びの参考になったり、知らなかった作家さんを知ることができます。

 

ぼくも考えて上げてみました。

今回はその解説を書きますね。

 

新世界より 貴志祐介

2008年に発表されて以来、もう5度も読み返しております。

未だにぼくの面白かったベスト3に食い込んでいる作品で、絶対にオススメできます。

詳しくは過去記事。

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 物語は超能力ものであり、主人公とその幼なじみの成長記録です。

本書は6章の構成になっているのですが、特に3章に当たる「深秋」は

何度読んでも涙してしまいますね。

 

・蜂蜜と遠雷 恩田陸

ここ数年で一番良かった小説です。今ぼくは恩田陸作品をずっと読み続けておりますが、そのきっかけはこの小説です。恩田陸さんの良さを再認識させられました。

詳しくは過去記事。

 

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 ・1Q84 村上春樹

とてもとても有名な小説家ですが、実は苦手でした。

読み始めると寝てしまうからです。

無礼者がっっっ!!! と聞こえてきそうですが、たまたまラジオを聴いていたときに、そのパーソナリティの方も同じことを言っていらっしゃいました。

そういう人は少なからずいるようです。

 

この『1Q84』。当時はあまりの話題性からNHKの『クローズアップ現代』という番組でも特集されたほどの作品なのです。

それがきっかけとなって読んでみる気になったと思うのですが。

読めるかどうか不安でしたので、実は中古で「1」を100円で買ったんです。

で、読み始めたところ・・・・。

一気にその物語の中に引きずり込まれてしまいました。

一行を読んで驚くという経験はこの小説がはじめてじゃなかったかなあと思います。

一行一行、言葉のひとつひとつをこぼさないように丁寧に丁寧に読んだのを覚えています。

あまりにいいので残りの「2」「3」は新刊をすぐに買いました。

全部読むのに1っヶ月はかかったと思います。

それだけの時間を費やす価値は十分にありました。

 

まずは1巻だけでも、手にしてみてください。

 
 現在は文庫で6冊に分けられているみたいですね。
 
今回はまず3冊について語らせていただきました。
つづきは時間に譲りますね。
 
読んでいただきありがとうございました。
 
ホイじゃ、また。

消滅とは? 空港におけるクローズドサークル 推理合戦 

 

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本日紹介します小説は、恩田陸さんの『消滅』です。

相変わらず、恩田陸作品を読んでおりますし、

今回読んだ『消滅』もとてもおもしろかったので、

まだまだまだ、読み続けることになりそうです。 

 

いつもならば、ここであらすじを書くのですが、

今回は趣向を変えてみます。

 

実はこの一週間くらい

ぼくが本作を読みながら思ったりしたことをちょっとずつTwitterにあげていたのです。それをまとめて記事としようという試みです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 とにかく読んでいるのがとてもたのしい小説です。

その楽しさをみなさまも味わっていただきたい。

 

 

今回はこのような形で小説を紹介させていただきました。

いかがでしたでしょうか。

 

ホイじゃ、また。

音楽と絵画にインスパイアされた5つの物語 『ライオンハート』

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 本日紹介します小説は恩田陸さんの『ライオンハート』です。

『蜂蜜と遠雷』を読んで以来、恩田陸さんをもっと読まなければ!!!

という気持ちが続いております。

 

今回もまた素晴らしい物語でした。

 

「あとがき」にありますように、

(あとがきがある場合、あとがきから先に読むという方は結構いらっしゃると思います)

この物語は、イギリスのミュージシャン ケイト・ブッシュのセカンド・アルバム

ライオンハート』に刺激を受けたことが根幹にあります。

 

ライオンハート

あのSMAPの曲にも同じタイトルのものがあり、こっちの方が有名かもしれないですね。

「勇敢な心」という意味があるようです。

 

「強い意志」みたいな捉え方もできると思います。

そんな「強い意志」の物語です。

お互いに「強い意志」で結ばれた男女の物語です。

それは世代どころか、時空を越えて繰り返される。

 

恋愛ものなのですが、SFです。

魂だけが時代を越えて、一人の人間の記憶として残り、それを思い出して、

愛する人に会いに行く物語です。そこに歴史も絡んでくる。

多重なおもしろさのある作品でした。

 

5篇の連作短編の形式をとっており、

各章のはじまりには有名絵画が差し込まれています。

 

これは、またあとがきにあることですが、恩田さんがある美術展に行ったさいに、

ある絵を見てインスピレーションを得て、

そこからこの物語を書き始めたという経緯から来るものです。

 

ミュージシャンと画家、この2人が恩田さんの中でスパークして、

新しい物語が生み出される。

この過程が、まず、カッコイイなああと思ってしまいました。

 

では、内容を見ていきましょう。

 

 

 

エアハート嬢の到着

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雨、それとも雪。

が降りしきる中、人々が誰かを待っている様子が描かれた絵画です。

誰を待っているのでしょうか。

それはエアハート。

リンドバーグの快挙に続き、初めての大西洋単独横断飛行をした女性。

そのことからミス・リンデイの愛称がある方です。

 

今だったら“はやぶさ”を待つような気分でしょうか。

 

そんな、人類の快挙という華々しい場面とはまったく不似合いといっていいような人物が登場します。

エドワード。この青年は、父が経営していた貿易会社が倒産。失意の中で父は死に、母も死んでしまった。兄弟はスペイン風邪でとっくに死んでしまっている。

通っていた大学を退学せざるを得なくなり、それどころか膨らんだ負債のために、管財人や取り立て人から逃げ回っている状況。

それにも疲れ果て・・・。

そこに一人の女の子がやって来るのです。

エドワードに会うために。

2人は初対面。ですが。

女の子はここで、彼に会うことができることを知っているのです。

何故か?

 

これはこういう物語なのかと把握するのに少し手間取ります。

でもわかってくれば、それがおもしろさだとも気づきます。

 

時空・時代を越えた物語だけあって、歴史が絡んでくるのですが、

どんな歴史上の出来事が登場するのかという楽しみもあります。

 

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5つある物語の中で、一番よかった物語ですね。

写真がヘタクソなので、魅力がぜんぜん伝わらなくて残念ですが、

だからこそ、ぜひ原作を手にとって、使われている絵画を観て欲しい。

そこから新しい物語を読み始めて欲しい。

 

男は散歩中。雨が降ってきてしまったので大きな木の下で雨宿りをはじめます。

そこに、「失礼」と若い男。

プロイセンと戦ってきた兵士。療養を終えてパリに帰る途中だといいます。

でも、とても療養を終えたようには見えない。

若い男は、戦場での無策を吐露します。

私が生き残っているのが不思議なくらいと。

 

 

 

 

とにかくこの一編を読んだ衝撃はすごかったですね。

何をいっても、うまく伝えられなし、ネタバレになってしまいます。

 

読んだあとは、呆然としてしまって次のページをめくることができませんでした。

 

イヴァンチェッツェの思い出

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 まずは掲載された絵画をよくご覧ください。

人物が描かれ、その横にいるのは無数の燕です。

ジェフリーはそんな夢を見て、目を覚まします。

 

これはあの有名なアルフォンス・ミュシャが描いたもののようです。

(これぞ、ミュシャというものではありませんよね。

 こういうものも描いていたのですね)

 

物語の中では、この絵はマチルダというかつて画家を目指していた女性が、

ミュシャにあこがれて、ずいぶん模写したというエピソードとともに登場します。

 

ジェフリーはそれを見て驚きます。

夢が現実になったような衝撃を覚えたのです。

 

それにしても、この左下の紋章のようなものは何だろう。

ジェフリーはそれが気になります。

 

ああそうか・・・。

と思い出します。

 

「なぜ忘れていたのだろう。

妻を亡くした日にニューヨークでこの絵を見たんだ」

 

恩田陸さんの手腕が唸る一編です。

 

天球のハーモニー

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明るい初秋の宮殿の中庭。

「陛下」

とよばれて、彼女は振り返ります。

 

記憶

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ロンドンから田舎町に引っ越してきた老夫婦。

夫は裏庭に出る扉を何気なく開けた瞬間・・・。

 

と、ここまで読んで来たならば、お決まりのシーンから物語ははじまります。

 

プロムナード

エピローグを飾るプロムナードは、きっかけとなったケイト・ブッシュに少し触れて、

きれいに物語を閉じています。

終わり方がこの物語を象徴しています。

 

今回もまた素晴らしい体験でした。

まだしばらく恩田陸さんを読んでいくことになりそうです。

 

物語とはあまり関係ないですが

 

作中このような文章が出てきます。

歴史を学ぶということは、大きな振り子に似ている。現実に背を向け、

かびくさい過去の出来事を掘り返していたはずなのに、

ふとした拍子に自分が今まさに現代と向き合っていると気付く。

 

ぼくはあまり歴史が好きではありませんでした。皆が戦国時代だ、幕末だといっていることの首をかしげていました。ですが、最近は考えを改めております。

それは上記の引用にあることを感じるようになったからです。

 

 

最後まで読んでいただきありがとうございます。

 

今回はこれにて。

ホイじゃ、また。

 

 

 

 

一年の変化は痩せた痩せた痩せた ああ痩せた

お題「#この1年の変化」

 

 

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ぼくにとってのこの一年の変化は何といっても痩せたことです。

10キロの減量に成功しました。

 

もともと痩せて見える方だったのですが、

実は腹回りに肉がついていて、(いわゆる浮き輪です)

とてもみっともない体型だったのです。

 

腹が出ていても、全体的に肉がついていればガッチリとした体型で

貫禄がある 頼りがいがある と見られることもあると思いますが、

ぼくの場合はそうではありませんでいた。

 

これはなんとかしなければ・・・。

そう思って運動をはじめるものの、長続きすることはなく、

エストのサイズがまた大きくなり、履けないズボンが増える。

それをもう5年間ほど続けていたような。

 

うんうん。

そうそう。

わかるわかる。

そう思う方も多いでしょう。

 

でも、この1年で長年の悩みが解消しました。

10キロ痩せて、腹回りもスッキリ。

 

履けなくなってしまっていたズボンが履けました。

憧れですよね。これ。

かつて履けていたものが、また履ける。

若返った気分です。

 

ではどのようにしてそれを達成したのか。

 

知りたいですか?

 

誰でもできる方法なんです。

 

知りたいですか?

 

本当に誰でもできる方法なんです。

 

だって歩くだけなんです。

 

ええ!!!歩くだけ!?

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そうなんです。

ぼくのやった方法は本当に歩くだけなんです。

それも毎日じゃなくていい。週に5日。

 

歩くだけ。

一日だいたい4万歩。

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できるかっっっっっっっっっっっ!!!!!!!

 

 

多分できないでしょうね。

それをやろうと思ったら一日8時間程度歩き続けないといけません。

 

ぼくがここでいいたいことは2つ。

①歩くことはやっぱりとても大切。基本中の基本。

②それをせざるを得ない環境が大切。

 

つまり、歩かなくてはならない状況にすることです。

 

人間意志の力に頼るのは結構難しいこと。

だからこそそういう環境に身を置くことにする。

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できるのであれば、ひと駅歩く。

エレベーターやエスカレーターをやめて歩く。

無理してウォーキングをするのではなく、

それが習慣化できる環境を自分で作り出すことが必要だということです。

 


 ではなぜぼくが一日4万歩も歩くことになったのか。

それは仕事です。

一日中歩き回る仕事なんです。

 

この一年の変化。

 

ぼくは仕事を変わりました。

 

それにはコロナがありました。

コロナの影響で仕事が激減する。

もともと業界の将来性はありませんでした。

コロナの影響でさらにそれが加速する。

少なくともコロナが落ち着くまでは。

ぼくは20年勤めた業界から離れる決意をしました。

 

結果としてはよかったですね。

 

気持ちはとても前向きです。

 

痩せることができたという、思わぬラッキーな副作用もありました。

 

 

 

3つめの変化。それはブログをはじめたことです。

ぼくはずっと悩んでいたことがあり、その解決を探るひとつとして

ネット検索もしていたのです。

その中で、ある方が書いたブログの記事が解決に導いてくれました。

 

特に専門家でもない方の経験からくる意見だったのですが、

すごく救われました。

 

これがきっかけです。

 

ぼくはブログというのは有名人か、何か特別な専門家がやるものだと思っていたのです。

でもそうではない。

専門家でなくても意見をいっていい。

それが誰かの役に立つこともある。

 

実際にはじめてみると、よかったと思えることばかり。

そのあたりははじめた方は実感することでしょう。

 

今やろうかどうか迷っている人がいるのでしたら、

はじめてみるのがいいと思います。

 

無料でその日にはじめられます。

そして、無理ならばやめればいいのです。

 

ブログはオワコンだという意見がありますが、

まったくの誤りでしょう。

 

ブログは文章メディア。

文章がなくなることなどあり得るでしょうか。

 

noteが出てきたからブログは終わったという意見も誤りでしょう。

あれはnoteの中でブログをやっているわけです。

 

テレビでいうところのチャンネルが増えたということではないかと考えます。

活動の場が増えたということです。

 

終わったのは今までのそれしかなかった時代が終わったということです。

新しいやり方を模索する時代に入ったということでしょう。

 

ブログにまだまだ可能性があるのを感じる人はまだまだ多いのでしょう。

また新しい人がブログをはじめています。

 

 

蒲公英 読めますか? 常野物語

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今回は小説のご紹介です。

恩田陸さんの「常野物語シリーズ」の第2弾です。

 

『蒲公英草紙』

 

んんん???何そうし?

うらこうえいそうし????

 

ぼくは漢字検定2級に合格しておりますが、読めませんでした。

漢字検定2級なんてその程度です。

 

「たんぽぽ」と読むそうです。

黄色い花をつけ、綿毛をつけるあのたんぽぽです。

どこがどう「たん」で、どこがどう「ぽぽ」なんでしょうか。

難しすぎるやろ。

 

たんぽぽといえば、幼い頃に摘んで遊びました。

そのイメージです。

「蒲公英」じゃ、そのイメージぶち壊しやろ。

 

 

 

 

前置きはこれくらいにしまして・・・。

 

 

居心地のいい物語

『蒲公英草紙』は峰子という女の子の視点から語られます。

常野物語シリーズですから、不思議な力をもった人々が登場してくるのですが、

それをそんな力は持っていない女の子が外側から見て語るわけです。

 

第1弾『光の帝国』のあとがきにあった、

「子供の頃に読んだお気に入りのSFに、ゼナ・ヘンダースンの「ピープル」シリーズというのがあった。宇宙旅行中に地球に漂着し、高度な知性と能力を隠してひっそりと田舎に暮らす人々を、そこに赴任してきた女性教師の目から描くという短編連作で、穏やかな品のいいタッチが印象に残っていた。

 ああいう話を書こう・・・。」

これを、改めてやってみようということでしょうか。

 

今回は連作短編ではなく、長編です。

 

峰子は小学校に上がる春に親から帳面をもらい、日記をつけまじめます。

それに「たんぽぽそうし」と名前をつけます。

御伽草子』や『枕草子』のことを漏れ聞いていて、

背伸びをしてつけたのかもしれないと語られます。

 

時代は明治の後半。20世紀がはじまった頃です。

このことを、にゅう・せんちゅりぃと表現しています。

英語がまだ珍しい時代ですよね。

 

峰子の近所には、旧家植村家という大きなお屋敷があり、

峰子はそこに通うことになります。

それはその家の末娘である聡子様の話相手になるため。

聡子様は体が弱く、学校へ行ったり遠出をしたりすることができないからです。

 

峰子が聡子と出会うことから物語がはじまります。

これは聡子と過ごした日々の話です。

「たんぽぽ」とあるように、たんぽぽを摘んで遊んだ頃。

“娘”になる前の“子供”の視点で、やさしく品よく語られます。

 

その心地よい空間をぜひ堪能してほしいですね。

 

春田一家登場

 この物語には「常野物語」の先陣を切ったあの春田一家が登場します。

第1弾の『光の帝国』を読んだ方ならば、「しまう」でおなじみの一家です。

時代は明治、20世紀がはじまったころですから、春田一家のご先祖様にあたる人ではないかと思います。

かつて植村家は常野の一族に助けられた恩があり、もしも常野の人が村にやって来るようなことがあれば丁重に扱うようにといわれています。

そこでお屋敷の外れにある洋館、その名も天聴館の2階に春田一家が住むことになるわけです。

春田一家は今回も「しまい」ますし「ひびき」ます。

もちろん「虫干し」も。

彼らのおかしな行動から、「露西亜の間諜」ではないかと疑われたりもします。

敵のスパイということです。

敵どころか、犯罪者を見抜いたり、困りごとを解決したりと、みんなを助けるのですが。

 

この物語は常野シリーズの第2弾ですが、独立した作品としても十分楽しめます。

でも、このあたりの部分は第1弾を読んでいたほうがより楽しめるでしょうね。

 

「蒲公英」の理由を考える

ところで、どうして「たんぽぽ」でなく「蒲公英」なのか考えます。

 

大人になった今から思いますに、

あの頃こそもっとも自然と戯れた頃だったのではないかと。

 

そんなすでに大人になり、

あの頃を懐かしむ視点というものを「蒲公英」にこめたのではないかと。

 

もう一つ考えるのは「聡子」の聡明さです。

植村家には様々な人々が出入りしているのですが、その中に仏様を彫る仏師の青年と海外で洋画を学んできた青年がいます。

二人がそれぞれの技法で聡子を描いたときに、それぞれを見て聡子が感想をいいます。

 

「西洋の絵は、今このときの聡子を描いておられます」

「日本の方法で描かれた絵は、もっと長い時間を描いておられるような気がします」

 

続いて音楽についても語ります。

「西洋の音楽は、目標に向かってずんずんと前に進んでいく」

「日本の音楽は、順序よく前に進んでいくというのではなくて、

昔に戻ったり、遠い未来に思いをはせたり、行ったり来たりしているような気がする」

 

それが正しいとか間違っているとか・良い悪いの話ではなく、

ひとつのものを見聞きして、そう感じ取ることができる聡子の達観した様子を「蒲公英」に込めたように思いました。

 

 

ぜひ、読んでみてください。

 

ホイじゃ、また。