〇〇〇〇〇〇〇〇殺人事件
今回は小説の紹介をします。
『〇〇〇〇〇〇〇〇殺人事件』という作品です。著者は早坂吝さん。
以前にこのブログで『殺人犯 対 殺人鬼』という小説を紹介しましたが、
それがおもしろかったので、同じ作者の別作品を読んでみました。
早坂吝さんのデビュー作にあたる作品です。
この作品の一番の特徴
おもしろい趣向の作品です。
タイトルからもわかるとおり、ミステリなのですが、
ミステリといえば「誰が犯人か?」「どうやってそれをした?」「それをした理由は何だ?」を探っていくものですよね。それも当然あるのですが、
この作品の一番の特徴は、
「タイトルを当てよう」です。
「○」がズラズラっと8こありますよね。
そこに入る文字は何でしょーーーー。
物語を読んで、当ててみてね、とうのが狙いの作品です。
なんだか楽しそう。
そう思った方はぜひ読んでみてください。
なんだか楽しそう。その気分のままワクワクする感じで読んでもらうと、
一番楽しめる作品ではないかなと、思います。
なんといっても舞台は南国なんです。
照りつける太陽と海。大自然。
いろんなものを脱ぎ捨てて飛び込んでしまえ!!!!!
南国リゾートを楽しむ気持ちで読むといいでしょう。
はじまり
語り手は沖健太郎。区役所職員です。
有給休暇を駆使して6連休をつくり向かうは小笠原諸島。
しかも、再従兄弟島という夫婦が2人だけで住んでいるという、
プライベート・アイランドにいくのです。
どうしてそんな特別な体験がこの一役人にできるのか。
それはブログ。
フリーライターである成瀬という男が、人跡未踏の山奥や海岸への冒険記をアップしているブログです。そこにアウトドア派の僕(語り手の沖健太郎)が、共鳴し書き込みをするようになった。
自然を満喫するならば秘境に限る。それほどのアウトドア派である人種はマイノリティなわけでして、常連は7人だけ。
その気の合う7人で会おうという話になったわけです。
その中の一人がプライベート・アイランドを所有する大金持ちの黒沼。
彼が常連たちを島に招くことになったというわけです。
それも今回で4回め。
メンバーは僕。
小野寺渚。大学院生。女性。
浅川史則。医師。男性。
中条法子。弁護士。女性。
成瀬瞬。フリーライター。ブロガー。男性。
迎え入れる黒沼重紀と深景。夫婦。
これがいつもの面子なのですが、今回は成瀬が彼女を連れてきた。
上木らいち。女性。
がんじがらめになっている世間体みたいないなものを脱ぎ捨てる、楽しい楽しいバカンスのはずなのに、
一言の断りももなく新しいメンバーが加わることで、一瞬嫌な空気になるのですが・・・。
メンバーを乗せ、船は小笠原諸島へ向けて出航します。
第一の殺人
出航後、犯人Xの視点ですでに殺人が行われたことがわかります。
船ではなくターミナルでそれは行われました。
実はこれは練習問題なんです。
「タイトル当てをやってみよう」とう形式に慣れるために用意された挿話です。
親切設計ですよね。
18ページ程度のショートミステリとしてもお楽しみいただけます。
出迎えた男
目当ての再従兄弟島につくと黒沼重紀が出迎えます。
それを見て初参加の上木らいちは小さな悲鳴を上げます。
無理もありません。
重紀の頭部全体を白い、のっぺりとした仮面が覆っているのですから。
白い仮面といえば・・・。
「針と糸の密室」もありますし。
ダイイング・メッセージもあります。
そして起きてしまう第2・第3の殺人事件。
明かされる驚愕の真相。
あなたは犯人を当てられますか?
タイトルを当てられますか?
途中、「ここでたちどまって考えてみよう」みたいなページが差し込まれます。
それに乗っかって、よく考えてみてください。
真相はわからなくても、ヒントのおかげで一部はわかるかもしれません。
是非、挑戦してみてください。
感想。ネタバレ注意報。
ここからさきは、ネタバレしておりますので、お読みになる予定の方は絶対に読まないでください。
感想。
誰がわかるんじゃいいいいいい。
アウトドア派って、そういうアウトドアかいいい。
わかるやつその手の趣味のあるやつだけやろう。
真相がわかったときは絵が浮かんで、笑ってしまった。
ミステリでの一番の緊迫したシーンで、何してんだよおおお。
緊張と緩和が過ぎる。
南国リゾートのハッピーさをそのままミステリに仕立て上げたようで楽しめました。
男女を混ぜたことがうまい。
健太郎と渚がはにかんでいる感じが、見事に隠している。
(本当は隠してないけど)
医師といったらそれをすぐに思いつく人少ない。
バカバカしい真相だが、一つ一つはしっかりとした理屈が成立していて納得。
最後の一行で「〇〇〇〇」に入る文字が明かされるのだが、
真相が衝撃的すぎて、タイトル当てのことはすっかり忘れておりました。